カフェ事業から専門ロースター事業への展開と販路拡大する事業(ものづくり補助金文例サンプル)

事業計画書名と概要の記入例

架空の企業が個人事業主向けのWEB支援メディアを構築する事業計画書の内容の記入例です。できるだけ30文字、100文字に近づけた方が良いと言われています。

■事業計画名の記入例(30文字程度)

カフェ事業からロースター事業の展開による付加価値の向上と販路拡大

■事業計画の概要の記入例(100文字程度)

既存事業であるカフェ店舗での商品提供から、自家焙煎機によるロースター事業を展開し、商品付加価値の向上とロースター事業者としてレストランやホテルなどへの焙煎コーヒーの納品し店外での販路拡大を目指す事業
 

本事業のポイント

■本事業の目的
既存のカフェ事業のブランディングと店外への販路を構築する。

■具体的な目標
店舗だけでなく、焙煎コーヒーを商品化することで、販路拡大と売上UPを目指し、同時に店舗のブランディングも向上させる。

■達成手段
店舗内に自家焙煎機を設置し、こだわり焙煎のコーヒー豆を商品化する

■機械装置等の必要性
上記を達成するためには、現状の設備では対応できないため、設備投資が不可欠である。

■機械装置等の型番
コーヒーロースター TLR-8【8kgタイプ焙煎機】3,067,900円

■詳細なスケジュール
実施体制 〇〇〇〇年〇〇月補助事業開始、〇〇〇〇年〇〇月補助事業完了。詳細は本計画書下部に記載

■他社との差別化や仕組み
本計画書下部に記載

■指針やガイドラインへの適合性
適合している。詳細は本計画書下部に記載

その1:補助事業の具体的取組内容

自社の概要

弊社は、〇〇〇県〇〇〇市・〇〇〇市エリアを中心に、カフェ事業を営んでいます。
コーヒーにこだわりをもっており、店舗で焙煎し、コーヒーを提供しています。〇〇〇県内ではコーヒーの相談もできるお店として地域に認知されています。
ホッとできる空間で安心・安全な美味しいコーヒーを提供したい、と〇〇〇年に事業を開始しました。
コーヒーの好みは様々で、深入り浅煎りのロースト加減だけでなく、朝にはあっさりした酸味のあるコーヒー、昼はちょっと濃いめのカフェオレなど、朝、昼、夕方、または四季などの季節や気温によっても、好みは変わってくるため、提供するコーヒーは信頼度が高いと自負しています。
カフェの 1 階は、親子ともにストレスなく過ごせる空間作りを徹底しています。

【店舗情報】
◆営業時間 10:30~19:00
◆定 休 日 毎週日・月曜日
◆駐 車 場 〇 台
◆Facebook〇〇〇
◆店舗の特徴・強み
「おすすめコーヒー」をテーマとしています。その日の天候や気温、気分などによって店主が選んだコーヒー豆と焙煎具合の組み合わせで、本日の「おすすめコーヒー」を提供しています。もちろん、好みを伺いながら、顧客にあったコーヒーカウンセリングから、コーヒー選びには定評があります。

顧客と事業の現在の状況

〇〇〇〇年に開業し、地域の顧客からコーヒーの相談役として信頼を獲得してきたが、コロナ禍の影響で来店客数は減少し始めました。そこで、焙煎したコーヒー豆の小売販売をスタートし、売上の減少をカバーするべく努力してきました。しかし、店舗の売上が〇〇%以上減少していき、コーヒー豆の販売に力を入れたくても、現在の仕組みでは、大量販売することができずに、大きく売上を落とす結果となりました。

 

〇月以降も状況の改善は見込めなかったため、早期の売上の回復を図るべく、新たな対策を打ち出すことにしました。弊社の強みである「おすすめコーヒー」を最大限活用した、独自焙煎コーヒーの製造小売業への進出です。
前述の「おすすめコーヒー」の顧客からの信頼度は高いため、「毎日焙煎」をコンセプトに、フレッシュなコーヒー豆商品として販売することにしました。


販路は、実店舗チャネルとして、弊社店舗の他、〇〇〇市が運営する〇〇〇観光物産館〇〇〇」。インターネットでも、ネットショップを運営しています。
〇月から始めたテストマーケティングの段階で、コアなコーヒー通はもちろん、美容や健康志向の意識がやや高い女性層からも支持を得られることに気づき、本格的な販売に踏み切りましたが、現状2つの課題を抱えています。

経営課題

■課題①
店舗外販売のコンセプトは、「毎日焙煎」ですが、店主のこだわりの焙煎具合を個人のロースター業者に依頼して生産していますが、細かいところまでは伝わりにくく商品の仕上がりにばらつきができてしまいます。先日も複数のお客様から、「前回の焙煎のコーヒー豆の方が断然美味しい」と厳しい評価をいただきました。

■課題②
順調に販売数を重ねてきましたが、販売先から発注が来ても、生産が追い付かず納品を待っていただくことが増えました。結果、これ以上販路を増やすことが難しい状況です。

【技術的課題】
コーヒー豆を焙煎する場合、弊社では外部業者の焙煎機の能力に依存してしまいます。前述の経営課題を解決し、弊社の生産性を向上させるためには、生産能力と焙煎品質において両方の技術的課題を解決する必要があります。

品質課題 再現性とロースト具合のばらつき
焙煎コーヒー豆をロースト製造する場合、大量に生産する必要があるため、焙煎糧は、個々の焙煎機の性能によってばらつきがでてきます。店舗では手鍋を使用して手作業でおこなっています。
火力が強過ぎたり、火に近づけ過ぎると、煎りムラや表面の焦げができやすくなり、一回の焙煎で出来上がったコーヒー豆のうち、一部がハイローストくらいなのに他の一部はフルシティローストくらいまで進んでしまっている状況もあります。安定した味わいにするためには、表面だけでなく中心部まで均一に火を通ことが重要で、コーヒー豆にうまく火を通せなければ豆の表面と中心部に煎りムラができてしまいます。
どの生豆も同じように焙煎すればいいわけではなく、その生豆に合った焙煎方法を見極めていくことが焙煎が難しいと言われるところで術的課題を有しています。

納期課題 生産性の低さによる受注対応難
前述の経営課題②のとおり、現状、受注獲得のチャンスがあっても、生産が追い付かずその機会を逸しています。作業時間を計測した結果、生産性を低くしているのは、均等に熱が伝わるよう、休みなく撹拌しながら加熱していますが、火力の調節がうまくいかず、最初から最後まで弱火で仕上げてみるか、またはダブル焙煎しています。
さらに、焙煎直後は尖った風味で、煙のにおいを強く感じます。ですから、2~4日ほど常温に置いて、味が落ち着き、まろやかさや本来の香味が出てきてから淹れたほうが、よりおいしくお飲みいただけます。生産性を向上し、取引先の求める生産量を納めるには、作業時間を削減する必要があります。

本事業の取組内容

前述の課題を解決し競争力を高めるために、本事業では以下の設備を導入します。

■導入を予定している設備

ロースター 8kgタイプTLR-8
短時間でムラなく焙煎する半熱風式。8kgタイプ
寸法 W710×D1560×H1570mm
・メーカー名 ラッキーコーヒーマシン株式会社
・重量 310kg
・熱源 ガス(都市・LPG)
・焙煎能力 4~8kg
・1回焙煎量・時間 4~8kg 15~30分
・使用ガス量(約) 14000kcal/h
・ガス接続管 家庭用1/2インチコックテキスト

設備導入による効果
①品質のばらつきをクリア
熱風式で現状よりも早く焙煎でき、煎りムラや表面の焦げができるのを防ぎ、倍散の均一化を図ることができます。

②大量生産を実現
一度に焙煎可能な量が増加するため、受注に対応できるようになります。

③労働時間を削減
手鍋での手作業の時間を大幅に短縮できるため、労働時間を削減できます。

本事業の目標値と完了

成果として、下記目標値の効果を確認することで本補助事業の完了とします。

品質課題 再現性とロースト具合のばらつき
現状ロス率〇〇% ⇒ 目標値〇〇%

納期課題 生産性の低さによる受注対応難
現状製造工程のリードタイム〇〇分 ⇒ 目標〇〇分

事業スケジュールと実施体制

事業スケジュールはガントチャート表などが見やすいです。

①導入機種選定・発注
  実施連携企業/ラッキーコーヒーマシン株式会社(〇月)
②導入資金調達
 (自己資金で調達)
③設備導入
  実施連携企業/ラッキーコーヒーマシン株式会社(〇月)
④試運転・動作確認
  実施連携企業/ラッキーコーヒーマシン株式会社(〇月)
5事業化への取り組み
  実施連携企業/〇〇〇商工会議所(〇月)

本事業の実施体制 


特定ものづくり基盤技術12分野との関連性

当社が本事業で取組む焙煎工程に係る整備導入は、焙煎コーヒー豆商品製造現場の環境を調整するものであり、特定ものづくり基盤技術分野の「製造環境技術」製造における生産性・信頼性の向上、製品の汚染防止、原材料・素材の流通過程における品質管理等の付加価値の創出に該当します。
食品分野の消費者ニーズの高度化に対応していくために、焙煎コーヒー豆商品の製造から販売までを一貫して品質管理するものと認識しています。
以上の内容により、本事業では「製造環境技術」を高度化することで、調理・製造における品質管理と衛生管理環境の調整を図ることにより、生産性の向上が進むことから、特定ものづくり技術分野の高度化に資する取組みといえます。

非対面型ビジネスモデルへの転換

本補助事業で導入する設備は、新型コロナウイルスの影響を乗り越えるための投資です。減少した店舗売上を補うため、自社の人気商品を製造販売するもので、販路は店舗販売から EC チャネルへと転換します。
この取組みは本補助事業における「非対面型モデルへの転換」に該当すると考えられます。

その:将来の展望(事業化に向けて想定している市場及び期待される効果)

本事業の成果

業務用焙煎機の導入により、お店の味の再現性クリアし、生産量が 4 倍に増加するために受注対応が可能となります。また、製造工程の労働時間を削減することができるため、販売活動に注力することができます。具体的な事業成果としては、焙煎コーヒー豆のQCD向上により生産の高度化・競争力強化し、EC サイト等の販路拡大により非対面型ビジネスへの転換することが実現できます。

ターゲットおよび市場動向

■小規模生産者とロースターのダイレクトトレードを実現

コーヒー生豆流通の透明化を目指すオンラインプラットフォームを運営する企業が、これまでコンテナ単位が基本だったコーヒー生豆の売買を、麻袋1袋単位から、コーヒー生産者と自家焙煎コーヒー事業者(ロースター)とでダイレクトトレードを可能にし、ICCサミット FUKUOKA 2022 Session 1A 「STARTUP CATAPULT スタートアップの登竜門」で優勝した。コーヒー市場の中でも、自家焙煎コーヒー市場は特に急伸を続けている。

■日本のコーヒー市場は消費者購入ベースで市場規模2兆9000億円に

近年、日本のコーヒー市場はほぼ右肩上がりで拡大しています。1996年に約35万トンだった国内のコーヒー消費量は16年には約47万トンに増加し、17年も約46万トンと高水準が続いているという状況である。これは市場全体が成長しており、コーヒー豆自家焙煎店の出店数が増え続けていて、特に、20代・30代の若い人たちが営むコーヒー豆自家焙煎店が増えている。

(食品産業新聞社ニュースWEBからの引用)

■コーヒー市場が拡大 「おうち時間」増加背景に豆カテゴリー急伸

コロナ禍の外出自粛で家庭内需要を取り込み前年比10.9%増と大幅に拡大している。家庭で過ごす時間が増えたことで『手間がかかっても、品質の高いコーヒーを飲みたい』という需要が高まっている。また、豆の挽きから抽出まで全自動のコーヒーメーカーが普及してきたことも市場を拡大させる要因となっていると推察される。(食品新聞より引用)

事業化への取組み

前述の成果やターゲット市場の拡大傾向を根拠に、本事業の実施後は、次頁のとおり事業を推進することで自社の技術力および競争力を強め、他社との差別化を図ると共に、新型コロナの影響に立ち向かいます。

1.更なる販路開拓(事業実施後1年目以降)

本事業において品質や生産性が飛躍的に向上する焙煎コーヒー豆商品の製造技術高度化を武器に、既存取引先(実店舗への卸売りと EC サイトによる通販)をターゲットと定め、営業を強化することで受注の増加を目指します。
なお、既に取引先である●●●市が運営する「●●●観光物産館●●●」から、本事業の実施後、受注の大幅な増加について取引の確約を得ています。
2 年目以降は、EC サイトでの販売力強化および販路開拓に取り組むべく、地元商工会議所の支援を受けながら、イベントへ出展し、取引先の新規開拓により受注量の増加を目指します。
また、販路開拓等事業の推進時には、定期的に外部の有識者(国の支援機関である中小機構の専門家派遣制度を想定)を交え、事業の振り返りと改善を図り、PDCA サイクルを回していきます。

2.取扱商品の増加(事業実施後2年目以降)

 現状、製造小売部門で取り扱うアイテム数は,、大きく分類すると主に3種類で(浅煎り・中煎り・深煎り)です。本補助事業により製造技術の高度化と生産スピードが飛躍的に向上したため、店舗で提供しているコーヒー豆の商品化と更なる販路開拓に取り組みます。

3.地域人材の雇用(事業実施後2~4年目)

 本事業終了後2年目から 4 年目以内を目途に、新たに従業員を地域人材の中から従業員を数名(1名以上)雇用します。更に、技術力や生産力を向上すべく、社内研修や OJT はもちろん、業務をマニュアル化することで社内体制の強化を図ります。弊社は、雇用を通じて地域貢献に重点的に取組んでいきたいと考えています。

その3:会社全体の事業計画

 
事業計画をエクセルなどの表で作成し、積算根拠を示してしてください。

①会社全体の事業計画(表)における「付加価値額」や「給与支給総額」等について、数字の算出根拠(実現の道筋)を明記するようにしてください。
② 本事業計画(表)で示した数値は、補助事業終了後に、事業化状況等報告において伸び率の達成状況の確認を行う場合があるようです。

利益計画※積算根拠

本補助事業の効果による増加売上高は、下表のとおりです。
1 年目の増加分月間販売数は、すでに注文の打診を受けている実数である 〇〇〇 個を計上しています。
2 年目以降は、前述の販路開拓活動により、販売数を伸ばすと共に、本補助事業で導入する設備で製造可能な商品を開発、日々変化する消費者ニーズを捉えながら、新商品をリリースします。新商品の種類は、実現可能性を重視し、1年に 1 商品というペースで取り組むことで、着実に売上を積み上げていきます。

(積算式)
対象商品単価 × 増加分月間販売数 × 実施月数 × 対象商品数 = 増加分売上高

営業経費の増減における考え方

①製造原価
本補助事業で設備投資することで、歩留の改善や食材の一括仕入れが図れるため、原価率は現状の〇〇%から、〇〇%まで削減できると考えています。

②販売費および一般管理費
事業化により、EC サイト経由の販売は発送費や保管料などの経費が増加することが考えられます。また、設備の増加にともなう光熱費や消耗品などの間接材料の増加分も経費として加えています。加えて、労務費(給与支払総額)については、生産量が増加することにより、現状の従業員やパートでは人員が不足する懸念があります。そのため、事業実施後 4 年目までに、1 名以上の雇用(〇〇〇万円)を行い、増加する注文数に対応していきます。

減価償却費
基準年度の減価償却費に、本補助事業で導入する設備投資額を 6 年で償却したと仮定し算出しています。

ご参考になれば幸いです。